フランチャイズ問題
フランチャイズ問題解説:目次
フランチャイズ問題とは
フランチャイズ問題の紛争類型
フランチャイズトラブルの予防と解決
フランチャイズ問題に関連する法令等
フランチャイズ関連事件情報
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フランチャイズ問題とは
1 フランチャイズの歴史
1) フランチャイズとは
フランチャイズは、一般的には以下のように定義されます。
事業者(「フランチャイザー」と呼ぶ)が他の事業者(「フランチャイジー」と呼ぶ)との間に契約を結び、自己の商標、サービスマーク、トレード・ネームその他の営業の象徴となる標識、および経営のノウハウを用いて、同一のイメージのもとに商品の販売その他の事業を行う権利を与え、一方、フランチャイジーはその見返りとして一定の対価を支払い、事業に必要な資金を投下してフランチャイザーの指導および援助のもとに事業を行う両者の継続的関係をいう(社団法人日本フランチャイズチェーン協会編「フランチャイズ・ハンドブック」)。
2) フランチャイズの起源と拡大
フランチャイズのシステムは19世紀アメリカを起源とします。
当初は、「製品フランチャイズ」と呼ばれる、いわゆる代理店に近い形式のフランチャイズチェーンが主流でしたが、1900年代初頭から、上記の定義に近い「ビジネスフォーマット型」のフランチャイズが広がり始めました。
日本では、ビジネスフォーマット型フランチャイズとして、1963年にダスキンと不二家のフランチャイズ店が開店したのを皮切りに、数々のフランチャイズチェーンが出現・成長し、現在では、フランチャイズチェーン数で1194チェーン、総店舗数23万店余を超えるに至っています(JFA2006年度統計調査による。)。
2 フランチャイズに関するトラブル
1) フランチャイズに関するトラブルの発生
しかしながら、このようなフランチャイズチェーンの成長の一方で、フランチャイズ契約に関する被害やトラブルも数多く出現するようになってきています。詳細は別の箇所で解説しますが、典型的なものだけでも、勧誘時の不正確な情報提供など契約締結に関わるトラブル、フランチャイズ契約上の指導援助義務・ロイヤリティーの未払いなど契約履行上のトラブル、フランチャイズ契約上の債務不履行解除に関する違約金請求、加盟金・保証金返還請求、及び競業行為の差し止め請求などのフランチャイズ契約終了に関わるトラブルといった、様々な形態のトラブルが見られます。そして、これらのなかには、本部と加盟店の紛争が裁判所に持ち込まれ、調停や訴訟にまで発展するケースもあります。また近年では、コンビニ廃棄ロスチャージ訴訟、コンビニ請求書・領収書開示請求訴訟などの新しい紛争類型も見られるようになり、本部と加盟店の間のトラブルも多様化しつつあります。
ここでは、このようなフランチャイズ契約に関わる訴訟調停等を含めた被害やトラブルを総称してフランチャイズ問題と呼びます。
2) フランチャイズ被害の深刻さ
フランチャイズ加盟店の中には、いわゆるメガフランチャイジーと呼ばれる企業のように、多数の店舗を運営しフランチャイズ本部に勝るとも劣らない力を有するフランチャイジーもありますが、いまだ加盟店の多くは個人事業者や零細な個人企業です。
このような加盟店が、フランチャイズ本部の詐欺的な勧誘や一方的なフランチャイズ契約によって被害を被ると、その被害が加盟店オーナーの生活を直接脅かし、その被害の度合いは深刻なものとなります。
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フランチャイズ問題の紛争類型
以下では、フランチャイズ契約をめぐって起こる紛争のうち、比較的多く見られる類型の紛争を解説します。
1 売上予測など不適切な事前説明(情報提供義務違反)
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2 指導援助義務の不履行
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3 商圏保護義務違反(テリトリー権侵害)
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加盟店が本部に対し、本部がフランチャイズ契約上に定められた加盟店に対する指導・援助義務を怠ったとして、その責任を追及するケースです。 |
4 不当な更新拒絶
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5 解約時の違約金請求
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6 秘密保持義務・競業避止義務に関する紛争
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7 コンビニ会計問題
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コンビニエンスストアは、フランチャイズによる店舗展開が非常に盛んであり、国内には数万店のコンビニフランチャイズ店が存在します。 2) 廃棄ロスチャージ問題 第1は、いわゆる「ロスチャージ問題」「廃棄ロス問題」と言われる問題です。 3) 支払代行に関する問題 第2は、支払代行に関する適正会計の問題です。 |
8 フランチャイズ本部不祥事の責任追及
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フランチャイズ~トラブルの予防と解決~
1 フランチャイズチェーンへの加盟を検討されている方へ
1) 十分な情報開示を受け慎重な判断を
フランチャイズ契約は、見方を変えれば、元本割れのおそれのある投資商品とも言えます。
本部から十分な情報開示を受け、自身でもできる限りの調査を行い、その収益の可能性及びリスクを十分に理解した上で、フランチャイズ加盟契約を締結するかの判断を行うようにしてください。
もちろん、結果的に本部の情報提供が不十分だった場合には、法的責任追及をすることは可能です。しかし、本部がそのような責任をはじめから素直に認めることは少なく、責任追及の場面では紛争となることは通常避けられません。
2) 加盟検討段階で実践しておくべきこと
このような事態を避けるために、以下のような事項を実践することが有効でしょう。
・本部に紹介された以外の加盟店の話をよく聞くこと
・すぐに契約せず、ある程度の時間をおいて考えること
・勧誘の際に提示された情報は書面で交付を受けること
・契約書の内容をよく検討すること
2 フランチャイズトラブルに巻き込まれてしまった方へ
1) フランチャイズに関するトラブルの発生
フランチャイズ加盟店オーナーがどれだけ慎重にフランチャイズ契約締結の是非を検討しても、本部の情報提供が不十分であったり、契約後に果たすべき義務を履行しなかった場合などには、トラブルが発生してしまうことはあります。
そのようなトラブルに巻き込まれて、事業計画どおりの売上が上がらず、予想外の経費負担に苦しみ、事業の行く末を案じては眠れない日々を過ごしている加盟店オーナーも少なくないものと思われます。
2) 第三者への相談が解決の第一歩
そのような状況にある方は、一人で悩むことなく、是非とも第三者に相談してみてください。
日頃から連絡を取り合っている外の加盟店の方でも構いませんし、我々弁護士などの法律家でも構いません。事業の継続を前提にロイヤリティーや賃料等の減額交渉をする方法や、事業の停止を前提に、錯誤無効・詐欺取消による不当利得返還請求や債務不履行・不法行為に基づく損害賠償請求、違約金減額の交渉あるいは訴訟を行う方法、あるいは新たな一歩を踏み出すために現在の事業の倒産処理をする方法など、トラブルの経緯と現状に応じて最適な解決方法を検討することが、問題解決への第一歩です。
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フランチャイズに関する法令等
1 民法
私法の一般法です。フランチャイズ契約の当事者間においても、契約や他の法律等に規定がない限りは、民法が適用されます。
2 商法
商人及び商取引に関連する事項を規律する法律で、民法の特別法と位置づけられています。フランチャイズ契約も商人間の契約として商法の規律を受けます。
3 中小小売商業振興法(小振法)
中小小売商業者の経営の近代化を促進すること等により、中小小売商業者の振興を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする法律です。同法第11条は、「特定連鎖化事業」に加盟する中小小売商業者の保護施策として、特定連鎖化事業を行う者に対し、当該特定連鎖化事業に加盟しようとする者に加盟契約の内容等一定の事項を記載した書面の開示を義務づけています。
上記の「特定連鎖化事業」は、主としてフランチャイズチェーンを対象としていますが、連鎖化事業に該当するための要件として、「主として中小小売商業者に対し、定型的な約款による契約に基づき継続的に、商品を販売し、又は販売をあつせんし、かつ、経営に関する指導を行う事業」であることが必要であるため、フランチャイズチェーンのなかにもこれに該当しないものがあることについては注意が必要です。
4 独占禁止法
正式名称は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」です。
フランチャイズ契約との関係では、同法19条の「不公正な取引方法」の規定が主として問題となります。不公正な取引方法の具体的な内容は、公正取引委員会が定める不公正な取引方法の一般指定に規定されています。フランチャイズ本部の加盟勧誘が欺瞞的顧客誘引(一般指定第8項)に該当しないか、フランチャイズ契約上の加盟店に対する拘束が優越的地位の濫用(一般指定第14項)にあたらないかなどの点が検討されることになります。
独占禁止法に関しては、同法を所管する公正取引委員会が「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」と題するガイドラインを公表しており、フランチャイズ問題に関する独占禁止法の位置づけを検討する際に参考になります。
5 商標法・不正競争防止法
商標法は、商品やサービスについて事業上使用するマークを保護する法律で、特許庁での手続により登録されている登録商標を保護しています。
不正競争防止法は、広く不正な競争行為を防止するため、不正競争行為の差し止めや損害賠償等について規定しています。同法によって、商標法によっては保護されない、事実上使用されている未登録商標についても一定の保護が与えられます。
6 JFA自主基準
社団法人日本フランチャイズチェーン協会(JFA)は、フランチャイズ・システムの健全な発展を図ることを目的に、1972年に設立された公益法人です。同団体は、多数のフランチャイズ本部が加盟しており、フランチャイズの健全な発展のため、「倫理綱領」「自主開示基準」などの規範を自主的に定めています。法的な拘束力はないものの、諸法令解釈のための参考となります。
7 労働法
フランチャイズ契約は、フランチャイズ本部と加盟店の間の契約ですが、これは「事業者対事業者」の契約であり、「事業者対労働者」の間で締結される労働契約とは異なるとされるのが一般的です。
しかしながら、フランチャイズ契約という名称が与えられていても、加盟店オーナーが独立事業者としての実質を有さず、フランチャイズ本部に対する使用従属性が認められる場合には、労働基準法第9条所定の「労働者」に該当あるいは準ずるものとして、加盟店オーナーに対する労働法上の保護が与えられるべきとの見解も存在します。現に、欧州においては、このような考え方に基づいた裁判例も見られます。
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フランチャイズ関連事件情報
1 セブン-イレブン見切り販売制限損害賠償請求集団訴訟
平成22年6月22日、公正取引委員会が株式会社セブン-イレブン・ジャパン(セブンイレブンのFC本部)に対し、加盟店に対する見切り販売の制限行為を行ったものとして、独占禁止法違反行為の排除措置命令を行いました。
本件は、この排除措置命令を受け、複数のセブンイレブン加盟店オーナーがセブンイレブン本部に対し、従前見切り販売を制限されていたことによる損害の賠償を求めた訴訟です。この訴訟は、独占禁止法25条に基づく損害賠償請求の形式を取っているため、第一審から東京高等裁判所での審理が行われています。
当事務所所属弁護士は、上記訴訟の弁護団に参加し、原告加盟店オーナーを代理して訴訟活動を行っています。
2 コンビニリベート情報文書提出命令申立事件
1) 概要
本件の本案は、ファミリーマート本部が元加盟店オーナーらに対し、FC契約上の清算金等の支払を求めた事案です。これに対し、元加盟店オーナーらは、仕入代金の代行決済に関し、ファミリーマート本部が仕入先より受領したリベートを適正に配分しなかったことなどを根拠に、これにより生じたリベート等返還請求権との相殺を主張して清算金請求権の存在を争っています。
本案の訴訟手続において、元加盟店オーナーらが、上記リベート等返還請求権の基礎事実を立証するため、ファミリーマート本部や仕入先業者等に対し、リベートや仕入原価に関する情報が記載された書面を裁判所に提出するよう求めた文書提出命令の申立がなされたのが本件です。
2) 仙台高等裁判所の決定内容
本案が係属中の福島地方裁判所郡山支部は、平成20年3月31日、ヤマト運輸株式会社に対し宅急便の荷受け業務に関する業務委託契約書の提出を命じ、その他の文書提出命令の申立を却下する決定をしていましたが、これに対し、元加盟店オーナーらが即時抗告の申立をしました。
上記即時抗告つき、仙台高等裁判所は、平成21年3月24日、福島地裁の決定を変更し、ファミリーマート本部に対し「リベートの分配基準及び計算方法が書かれた文書」「本部が山崎製パン株式会社から得たリベート収入額を記載された文書」の提出を命ずる決定をしました。
他方、ヤマト運輸に関する業務委託契約書等の提出命令については申立を却下しました。
3) 評価
仙台高裁の決定は、原決定が認めた業務委託契約書の提出義務を否定したなどの問題点は残るものの、コンビニ本部がこれまで秘匿してきたリベート情報の開示を認めた点で一定の評価に値する内容と言うことができます。
また、理由中の判断として、コンビニ本部が仕入先より一括して受領したリベートの処理につき、本部の自由裁量ではなく、これを適正な分配基準にしたがって加盟店に適正に配分すべきFC契約上の義務を認定したことも注目すべき点と言えます。
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